◆ 消えた弟子

「うー！うーうー！！」
「おー千夜呼か、今帰りか？」
「…！」

さっきそこで買って食ってたアイスを指差して
千夜呼は俺様の顔をじっと見上げた。

「一口食うか。」
「あーー☆」
「てめ、全然一口じゃねーじゃねーかよ！」
「…、…！」
「・・・うめーか？」
「あー☆」

俺様の知ってる千夜呼はこんな風に笑う奴じゃなかった。
いつだって瞳の裏に闇を灯していた千夜呼はどこ行った？
闇の中で泣いてた千夜呼はどこ行った？

「・・・・・千夜呼、"師匠"っつってみ？」
「……、…、…っ、………うー…。」
「・・・ほらよ、口開けろ。」
「あーーー☆」

帰り道、アイス食って、口元ベタベタ汚して
軽い足取りで俺様の前を歩いていくこのガキは誰だ？

大事に抱えてるクレパス、黒だけが新品のままだった。
使われない黒と、すり減っていくパステルカラーが示す意味は・・。